dochu-14

(6月11日)
 今日からは音のボリューム等を調整しバランスを整える“Mixdown”に入る。これがまた時間がかかり、ちょっとナーバスになる。
 ここがビルの腕の見せどころなのだが、こんなに自分のプレイを何度も聞いたのは初めてだった。聞けば聞くほどだんだんと落ち込んでいく。しまいにはお互いのアラ探しだ。


 そんな時にジーンがやってきて、スタジオにあるピアノを弾きだした。ヤマハの古いグランド・ピアノだがとても良い音色。それにしても上手だ。「習ったの?」と尋ねると「独学なんだ」と言っていた。なんでもそのピアノは日本のある紡績会社からの寄贈品。それをジーンが買い取ったらしい。

 今日のランチは“キャプテンD's”というお店のシーフード。ビルはオーダーしたのが、あまりにも小さかったので、ブツブツ言いながら食べている。もちろん不機嫌だ。スタジオに戻ってまたミックスダウンを続ける。

 ブレイクタイムに、ビルが財布からピックを取り出して「僕はニューグラス・リバイバルの最後のレコーディングもやったんだヨ。そしたら彼等がこのピックをくれたんだ」と言いながら見せてくれた。

 “No Grass Revival”とロゴが入ったピック。爆笑!!他にもビンス・ギルから貰ったという“Vince Grill”やサム・ブッシュの“Bush Pick”“Heavy Bush”等々が彼の自慢の品みたい。


 今日で全て終了予定のはずだったが、ちょっと甘かったみたい。この日も夜の11時まで続く。

アリソン・ブラウン

(6月12日)
 今日はラストの日だ。気合いを入れてスタジオへ。ちょうどアリソン、ゲイリーそれにゲイリーの娘、キャラも到着。
 アリソンと“Sunny Side Of Life”を合わせる。久しぶりにブルーグラス・バンジョーを弾くみたいだが、やはり素晴らしい。美雅ネェが真剣にアリソンのプレイを見つめている。私はゲイリーと今後のスケジュールの打ち合わせを済ませ、キャラとお決まりの折り紙を・・・。

 アリソンとゲイリーが、しきりに「今回のレコーディングは全てに満足したか?」と尋ねてくれる。ここには書けない苦労も沢山あったが、それよりもこうして一流のミュージシャン達とレコーディング出来たことが信じられず、未だに夢を見ているようだ。・・・・がまだ、これで終わった訳ではない。アリソン達と入れ替わりにマーガレットが到着した。何日も前から電話していたのだが、全然連絡がなくて、ちょっと心配していたのだった。

 彼女はTNN(TV局)で働いていて、立て続けに仕事が入り多忙だったらしい。働き過ぎで腰を痛めており、声の調子もいつもと違う。だが、“Little Cabin Home On The Hill”が流れだすと。すぐにハモリ、いつものようにきれいな響きのある声で歌ってくれた。さすが彼女だ。

 マーガレットには個人的にも親しくして貰っている。というのも私はベビーシッターとして、彼女に雇われているのだ。夫であるリチャード(bj)そっくりの、クレアと言う4才の女の子。私達3人がタダでホームステイしているフューソン家にも、3人のキッズが居るが、アメリカの子供達はかなりワイルド・・・・。ベビーシッターも楽ではない、重労働。初めの内は身体じゅうアザだらけだった。

マーガレット・ベイリー

 毎度、お楽しみにしているランチ、今回はタイ料理店で済ませ、スタジオに戻り、最終仕上げを行った。終わったのが4時過ぎ・・・。
 

 短かったようで長い5日間。本当によく自分達でここまで出来たなぁ・・・。これもアリソンとゲイリーのお陰だ。ビル(最後までジョークを連発しているが)にも大変お世話になった。そして、何よりもこの機会を与えてくれた両親に心から感謝したい。

 今回、ナッシュビルでCDを完成させた事に満足しています。まだまだやり足りない思いはあるけれど、次の目標として残しておきたいと思っています。1stアルバムとはまた違った内容です。ナッシュビルの香りと私達3人姉妹の成長ぶりをどうかお楽しみ下さい。



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