興味を持たせる
 音楽のバンドで演奏した経験を持つ人なら「自分の子どもと一緒に演奏できればいいなぁ」と一度は考えるのではないでしょうか。「俺の息子は(娘は)フォギー・マウンティン・ブレイクダウンば聞かせると手を叩いて喜ぶぜ」と、私より先に結婚した先輩、友人らは、生まれて間もない赤ちゃんにカントリーやブルーグラス音楽のレコードを聞かせては喜んでいました。しかし残念ながら、すべてダメでした。

 無理もありません、まずはほとんどと言っていいほど、奥さんが反対します。彼女も結婚する前と新婚時代にはイヤというほど聞かされているのです。好きでも無い音楽は騒音でしかないのです。ましてやブルーグラスは速いテンポの曲が多いため、「レコードの回転速度を間違えていないか」と問われるぐらいですから。

 私は子たちにブルーグラス音楽ではなく、童謡のレコードを買ってきて聞かせていました。そして一杯機嫌のときにはギターを持ち出し、その童謡や保育園、小学校で歌ってる歌を一緒に歌っていました。家内は大好きなカーター・ファミリーのレコードを聞きながら夕飯をつくっていましたが、子たちは何の反応も示しませんでした。
 クリスマス会
 ところが、わが家のクリスマス会で家内と私とで「きよしこの夜」をハモって歌たったら、珍しくじっ〜として聞いているではありませんか。ハーモニーの響きがよほど心地よかったのでしょうか??? それからは機会あるごとに、そのハモったパートを教えてくれと家内に頼んでいました。

 そこで家内がまず自分のパートを長女に教えます。それから私とハモってみますと、これが結構うまくいきました。それを聞いたあとの3人が「次はわたし、次はわたし」と例によって順番を争ってのケンカです。これが切っ掛けとなり音楽に興味を示すようになりました。

 次の年の5月、友人二人と私達夫婦でやっていましたオールドタイムのバンド「ヒルビリーズ」に出演依頼があり、さっそくわが家で練習を始めました。「聖者の行進」「ホーム・スウィート・ホーム」「この世が火と燃えるとき」等など、10年ぶりですから思い出しながらの練習でした。子たちには練習の邪魔にならないように、静かにして聞くようにと言い聞かせていました。
 次の日、「When the saints」「when the saints」、「Go marchin' in」 「go marchin' in」こども達の部屋から聞こえてきました。思わず「やった!」と心の中で叫んでいました。


初ステージ
 ヒルビリーズの練習で覚えた「聖者の行進」を子たち4人にもステージで歌わせようということになり、それから一緒に練習を始めました。友人ふたりも大いに乗り気で自分達の練習はせずに、もっぱら子たちに練習をつけていました。

 1986年8月、「第3回太宰府ブルーグラス・フェスティバル」と銘打ったブルーグラス音楽の野外コンサートで、娘4人が初めてステージで歌いました。日本三大火祭りの神事「鬼すべ」が行われる太宰府天満宮鬼すべ堂の敷地内に組み立てた特設ステージでした。

 ヒルビリーズのバック演奏で、まず長女と家内の二人でホーム・スウィート・ホームを、そして子ども達4人で聖者の行進を歌いました。初ステージ

 やんやの喝采でした。家内が作ったお揃いのワンピースを着て、ちょっと緊張気味でしたけど。
 「どうやった、楽しかった?」 
 「うん、バリ楽しかった。」
 
 「来年は楽器持って出ようか?」「うん」
 「お父さん、楽器を教えて下さい!」 
長女が5年生、次女と三女が4年生、そして四女が2年生でした。

 次の日から4人とも楽器に興味を示し始めました。自分達の身体に合った、小さくて可愛いマンドリンがいちばんの人気です。手に持ってピックで弦をかき鳴らして遊んでいます。ギター、バンジョー、ベースには見向きもしないでマンドリンの奪い合いでした。                

 しかし、それぞれが受け持つ楽器を決めなければなりません。まず長女はバンジョーにしました。次女がバイオリン、三女がマンドリンそして四女にギターです。ベースは私が弾くつもりでしたが、女性だけのバンドは珍しいだろうと思い家内にやってもらうことにしました。結果的にはこれがgoodでした。


お願い
ブルーグラス音楽の歴史、楽器、曲、演奏グループ等をお知りになりたい方はリンク集のブルーグラス音楽のそれぞれのホームページを訪ねて下さい。

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