●3枚目CDレコーディング編●その6

11月2日

いつも通り朝10時にスタジオ入りすると、早速エリックがスタジオ内の掃除を終えて昨日レコーディングした曲をチェックしていました。彼は耳が非常に肥えていて、一度聞いただけで『ここのピッチがちょっとずれてるネ。そこはこうした方がもっといいんじゃない?』等、私達でさえ気付かない所をバシバシ 指摘してくるのです。 これにはエンジニアの凄さ今まで培って来た経験を見せつけられました。

今日は今まで録音した分のチェック、各々のフィックス(細かい部分の手直し)をやりました。みんな妥協したくない部分は必ずあるもの。『え?これいいっちゃないと?どこが間違っとると?』みたいな事をブースにいる人とやり取りするんですが、これが意外と楽しい。エリックも必ずといっていい程アメリカンジョークを入れてくるので、あっという間に時間が経ってしまいます。お陰でナーバスにならず、この日も楽しく作業ができました。

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11月3日 録音最終日

今日のゲストのパムがニコニコしながらスタジオへやって来ました。私達がブルーグラスを始めた頃(1980年代)に最もブレイクしたカントリー界の女性5人組「Wild Rose」のバンジョー弾き, パムガッド!彼女は偶然にも美雅&由美 が通っていた学校(Nashville Community College)で働いており、今回の録音参加が実現したと言う訳です。まさかあのパムガッドが自分達の通っている学校で働いているなんて...!これもナッシュビルならではの事かもしれませんね。

来日した時の事など色んな話をしてくれ、打ち解けたところで録音開始♪彼女にはカントリーのスタンダードで皆がよ〜く知っている曲を一緒にやってもらいました。ミサとのヴォーカルでの掛け合い等もあったので、英語の発音チェックにはかなり時間がかかりましたが、パムはゆっくり丁寧に、そしてその言葉の意味も面白おかしくミサに指導してくれました。そんな和気あいあいとした雰囲気の 中でのレコーディングはとてもやりやすく楽しかったです。そしてエリックがスタジオの奥から引っ張り出して来たマラカスやシェーカー等の楽器を使って更に雰囲気を盛り上げてくれました。当初はこんなアレンジになるなんて皆目見当も付きませんでしたが、これもレコーディングの醍醐味でしょう。歌はとっても苦手な私達ですが、この曲はとても楽しく歌え、今までとはちょっと違ったサウンドになってるので是非、聞いてみて下さいネ!

忙しい合間をぬって来てくれたパムですが、録音後はすぐに学校に戻らなくてはならないとの事。最後に日本から持って来たミカお手製の和柄のコースターやお財布をプレゼントすると彼女からは今までリリースしたアルバムをたくさん貰いました。『是非今度、あなた達を食事に招待したいわ!』と目を輝かせながらそう言い残しスタジオを去って行きました。

さて次はこの日人生で初めてのレコーディングを体験する洋平の出番です。やはり朝から緊張した様子。鼻炎、アレルギー持ちの為体調は万全だったのかわかりませんが、いざ、レコーディングとなると意外と落ち着いた様子だったのでひと安心。。。今回は2曲参加です。実は一緒に練習する時間が取れず、この日初めてみんなと音合わせをしたので彼にとってはちょっと過酷だったかもしれませ ん(笑)皆の視線を浴び、プレッシャーを感じながらの演奏でしたが確実にリズムをキープして一生懸命弾いてくれました。緊張してた割には上出来!! ミサの熱いエールが届いたのでしょう(笑)エリックも「彼はガンバったね〜」と何度も褒めていました。洋平、お疲れさま〜!!!


それからゲストミュージシャンの最後はアリソン!ちょっと前までショウのリハーサルだったのですが、それが終ってからすぐに駆け付けてくれました。彼女は私達が渡米する直前まで海外ツアー中で帰って来たばかり。コンパスレコードの仕事も貯まっていたようで、同じ建物にいながらなかなか会う事ができませんでした。そしてこの録音終了後はショウでの演奏という、とてもハードスケジュールな毎日の彼女。仕事、育児、ミュージシャンに加え、最近は近くのバンダービルト大学付属音楽学校「Blair Music School」で非常勤講師としてバンジョーを教えているんです!学校にはちゃんとオフィスもあるらしいのですが多忙な彼女なので一度も行った事がないらしく、生徒にコンパスのオフィスへ来てもらいレッスンをしています。彼女のパワーにはいつも感心してしまいます!

アリソンが録音中は交代でハンナちゃんの子守り。1階にある彼女の部屋やオフィスで遊んでいましたが、玄関にあるソファーの上で飛び跳ねたり等と、とにかく一時もジッとしていません!お土産にキティちゃんのバトミントンをプレゼントするとすぐにそれで遊び始め、どうやら気に入ってくれたようでした。
レコーディングの方はというと、ミカ姉とのツインバンジョーは、さすがアリソン!お見事!といった感じで彼女の音楽センスが歴然としていました。ミカ姉もこれには大満足だったようで終始笑顔でした。

これで全てのゲストの録音が終了。当初、色々と不安はありましたが何とか問題なくスムーズに終える事ができゲストのみなさんに感謝です。

仕事の都合で洋平はひと足先に日本へと経ってしまいましたが私達は残りの1週間、フィックスとミックスダウンの作業をぎりぎりまでやり、そして最後とばかりにショッピングを存分に楽しみ2週間の滞在を終え無事帰国しました。

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今回のCDはバンド結成20周年の記念として、4人が懇願して実現したものです。幼い頃から練習に膨大な時間を費やし、父に叱咤激励されながら演奏活動を行って来ました。もちろん楽しい事も沢山ありましたがやはり持続する辛さや犠牲にしたものも多かったです。家族が一緒であれば困難をも乗り越えられ、また家族の絆というものを音楽を通して教えられたような気がしますね。 また、目的へ向かい一生懸命ひとつの事に専念する素晴らしさみたいなものも体感できました! そんな両親に感謝の気持ちを込めてこのCDを捧げたく、この半 年間いつものように4人でケンカしながら頑張って作り上げて きたNFB集大成のこのCDをみなさん是非、お聴き下さい!!

                                   〜おわり〜

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