けんかする兄弟がいない 
 こども同士の喧嘩で、あるいは先生が生徒を殴って、あるいは親がわが子を殴って怪我させたり、死亡させたりする事件がやたら目に付きます。親や先生から殴られたことがないし、人を殴ったこともない。痛いめに逢った経験がないから殴り方が分からない。またここを殴ったらメチャ痛い、これ以上殴ったら危ないなどの判断が出来ない、殴られる方も、例えば柔道の受け身のような身を守るような動作が出来ない。

 またこども達だけでなく、その親や先生達もこどもの頃に殴ったり殴られたりの経験がないから、叩いたりするときの手加減が分からないのです。

 こどもは少ないより多い方が良いですね。30過ぎで産むより20代で産んだ方が子供も丈夫に育つし、あとが楽です。しかも望めば何人でも可能です。子供も一人っ子よりお兄ちゃん、お姉ちゃんそれに弟、妹がいたほうが楽しいはずです。ケーキは半分にあるいは三分の一に減りますが、兄弟喧嘩も出来るんです。子供も兄弟喧嘩から学ぶことはいっぱいあるのです。


 女の子だって同じです。4人もいれば兄弟喧嘩は当たり前です。双子の由美と絵美はふだんは仲が良いのですが、すぐケンカになります。火付けは美砂と絵美です。不思議なもので一対三で始めたケンカでも必ず二対二となります。双子が中学に入る頃になると兄弟喧嘩の様相も変わってきました。

「おまえが、悪いったい」「なんでや、きさんがくらすけんたい」くらすとは殴るの意味。きさんは貴様のこと。まるで男の喧嘩です。パンチももちろんありますし、足蹴りに回し蹴りだって。それにしても息子4人でなくて、本当に良かったと思っています。

 ときにはパンチが顔面にヒットしたりで泣きますけど、まあストレス解消と思えば...、兄弟喧嘩が出来ない子もいるんですから。今でもしっかりやっています。音楽の練習の時が多いみたいです。その時は必ず楽器を仕舞ってからやれと言っています。


ランディ・バースに学ぶ
 
阪神タイガースの熱狂的なファンでなくてもランディ・バースの名前ぐらいは御存じでしょう。一昨年の横浜ベイスターズ、大魔人こと佐々木投手に勝るとも劣らない、また虎キチを歓喜のるつぼに導いた男です。球団創設50周年の1985年に西武ライオンズを下し、阪神タイガースが初の日本一となったときの4番バッター。またMVPと三冠王も獲得した男です。

 その彼が1988年6月、ペナントレース中に突然、アメリカへ帰ってしまったことが誌面で報じられました。理由は「8才の長男の水頭症看護の為」で、「阪神球団は帰国したバース選手を解雇」とありました。バース選手にとっても苦渋の選択だったことでしょうけど。それにしても虎ファンのみならずプロ野球ファンの失望と怒りは大きいものでした。もう阪神タイガースの優勝はしばらくはないと。

 当時は西武ライオンズファンだった私にもショッキングな出来事でした。まず「なんでや!男が仕事を投げ出してからに」と、おそらく大半の人がそう思ったことでしょう。その年は美砂が4年生でしたから、バース選手の親としての気持ちが分からぬでもありませんでしたが、やはり私も皆さんと同じ思いでした。

ひな祭

 ところがこの出来事がず〜っと心の隅にくっついたまま、機会あるごとに思い出されました。いまの自分だったらどう対処するだろうか、仕事を取るか、家庭を取るか。月日がたつにつれ、だんだんとランディ・バースの取った行動が当たり前の事だと思うようになって来たのでした。

それに「人として、親として、なんと素晴らしい男なのか」と思えるようになりました。


 家庭を持つ者としては、もちろん働いて毎日の糧を得なければなりませんが、このランディ・バースのような家族に対する愛情が今の私達には欠けているのではあるまいか。バブルがはじけたいまの世の中を見ていると、もう目覚めるときでは、と日々思っています。


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